「埼玉県文化芸術振興基本条例」提案説明(本会議用)


平成21年7月2日

74番、公明党県議団の畠山清彦でございます。 議第7号議案・「埼玉県文化芸術振興基本条例」につきまして、提案者を代表して、ご説明申し上げます。

  文化は、人間精神の内なる力によって育まれる華です。芸術は、人間性のやむにやまれぬ必然の発露です。よって、文化芸術は人間を人間たらしめている本質であり、文化芸術の開花は人間の生きている証でもあります。

また、文化芸術は、それ自体が固有の意義と価値をもち、民族、国家、イデオロギーの壁をも超える広い共感性を持ちます。 文化芸術の振興は、時代を超えて必要な心の豊かさを育むとともに社会の閉塞感を打ち破り、明日への希望を生みます。 文化芸術の価値は、新たな産業や雇用の創出につながることも少なくありません。 さらに、文化芸術の交流は、誰もが求める世界の平和の礎ともなります。

  本県には、秩父夜祭りや吉田の龍勢、小鹿野歌舞伎など、歴史と伝統に彩られた伝統文化が息づいています。さいたまの盆栽は、いまや世界の「BONSAI」となり、世界から愛好家が集っています。 近代漫画の祖・北沢楽天に始まる漫画文化は、アニメーションに継承され世界に発信されています。デジタル時代の新たな映像文化も本県より生まれ育っています。

 また、「彩の国さいたま芸術劇場」からは、舞台芸術や伝統文化が国の内外に発信されています。 このように、歴史と伝統に裏打ちされた伝統文化を保存・継承しつつ、新文化創造がなされる国土こそ我が埼玉県に他なりません。これもひとえに県民のたゆまぬ努力の賜であります。 しかし、本県の文化芸術を未来に渡って継承し、より大きく花開かせるためには、文化芸術振興施策の総合的な推進を図ることが重要です。 また、文化芸術活動を行う者の自主性が十分尊重され、県民が文化芸術を身近なものとして、等しく創造し、享受できるよう環境を整備していくことが不可欠であります。 このため、本県の文化芸術の振興について、その基本理念を定め、文化芸術振興施策を総合的に推進し、心豊かな県民生活及び活力ある社会の実現に寄与するために、本条例案を提案いたしました。

次に、主な内容につきまして、特徴的なものを申し上げます。 第2条の「基本理念」では、「文化芸術活動を行う者の自主性の尊重」など六項目について定めています。 第3条では、「県の責務」として、文化芸術振興施策を総合的に策定し実施することなど、4項目を定めました。 第4条では、「県は、『文化芸術振興計画』を定めるもの」といたしました。 第6条の「文化芸術振興のための措置」には、「伝統芸能の保存、継承、活用」も盛り込んでおります。 第7条の「文化芸術による地域づくり」は、文化芸術が地域の発展に大きな役割を果たすことから設けたものであり、これを進めるに当たっては、本県県民の強い協動意識を考慮し、「地域産業及び民間団体等との協働に配慮するもの」といたしました。 第9条の「学校教育における文化芸術活動の充実」には、特に、「伝統芸能に対する理解及び関心を深めるよう配慮するもの」といたしました。

また、文化芸術振興の施策として、「高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実」、「文化芸術交流の推進」、「情報通信技術の活用の推進」、「メセナ活動の促進」をそれぞれ独立した条項として定めているのも本条例の特徴と言えます。 さらに、第17条には、「文化芸術振興施策を推進するため、県は、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるもの」としております。

以上が、提案の理由及び内容の概要であります。 議員各位におかれましては、何卒、ご審議の上、ご賛同くださいますようお願い申し上げ、提案者を代表しての説明を終わります。

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