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◇提案 |
◆経過 |
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LD児及びその周辺児に対する支援策について/
先月24日、私は、日本LD学会第9回大会に参加しました。
東京学芸大学の山口薫名誉教授は、21世紀の目指すべき特別支援教育は、「子供は一人ひとり違っていることがすばらしい」との理念に基づき、一人ひとりを包み込み、対応する教育であると講演されました。その教育改革の出発点が、いわゆる学習障害、LD教育であるとの指摘は、LD児及びその周辺児に対する支援から、多様性並びに能力に応じた学習支援が確立できると考えた私に勇気と確信を与えてくれました。
私は、LD児及びその周辺児に対する支援策について、過去3回質問いたしました。お蔭様で、県当局では、LD児についての指導マニュアルを作成したり、本年度からは、県内の巡回相談を導入したり等、学校現場でのLDへの認識も広がってまいりました。
そこで、今後は、より一層全校挙げての支援体制を確立することと、巡回相談の対象を拡大することに力を入れるべきだと考えます。
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LD児及びその周辺児に対する支援策について/
桐川卓雄教育長
議員御指摘のLD児指導マニュアルを各小学校へ配布し、LD児への支援に努めてまいりましたが、まだ十分とは言えず、さらに全校挙げての支援体制を確立していくために、今年度から2年間にわたり、学習障害児に対する指導方法等に関する実践研究を進めているところでございます。
校内支援体制や指導方法などについて、具体的な実践を通して、来年度にはその成果をパンフレットにして、県内の小・中学校に配付し、支援体制を普及していきたいと考えております。また、巡回相談につきましては、保護者からの要望なども認識しておりますが、現状では拡大することは厳しい状況でございますので、更に研究を進めていきたいと存じます。
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LD児及びその周辺児に対する支援策について/
畠山清彦県議会議員
平成11年6月定例会/一般質問より
この件につきましては、過去2回質問してまいりましたが、おかげさまで、チームティーチングは昨年度に比べて小学校で42名増、中学校で12名増と確実に前進しております。また、本年3月には、LD支援のマニュアルを作成したり、本年度より南教育センターでLDの相談体制をとるなど、御努力されていることに感謝申し上げます。
私は、先週、春日部市立備後小学校に行ってまいりました。ここは、校長を先頭に、通級制の情緒学級に熱心に取り組んでいるところです。
特に、筑波国際大学の加藤哲文助教授にスーパーアドバイザーとして協力いただき、児童の個別カリキュラムを、情緒学級の担任はもとより、保護者、通常学級の担任、主治医が一体となってつくっておりました。
校長は、LD支援を強化するには担任の理解度を増さなければならない、そのためにも、LD支援のマニュアルは大変ありがたいとおっしゃっておりました。
しかし、一方、このマニュアルが職員室の各隅に眠っているとか、校長が担任に任せきりという実態も耳にします。これでは宝の持ち腐れです。
私は、校長が中心となって、学校を挙げてLD支援の体制をつくり上げるよう県教育局が再度指導を徹底すべきと考えます。この点について、教育長の御見解をお伺いいたします。
ところで、今回質問するに当たって、市立札幌病院のぞみ分校での土曜教室も視察してきました。
市当局の支援があるのかと期待したのですが、院内学級の校舎を提供しているだけで、中身は小学校の先生方のボランティアでした。しかし、土曜教室の顧問の医師と先生方と保護者との連携は十分とれておりました。
本年4月には、LDを対象とした私立の通信制高校が開校いたしました。私は、早速、横浜市にある学習センターを尋ねました。
センター長は、生徒に対して、否定語を吐かない、叱る必要があるときでも学校と家庭が連携をとり、叱る内容を一元化するとおっしゃっておりました。これは、LD支援に限らず大事な観点だと思います。
本県も、LD児及びその周辺児には、行政と学校現場と家庭並びに医療機関とのネットワークが必要だと考えます。LDに応じる医療機関も増やしてほしいとの要望もあります。南北教育センターを軸に早急に体制をつくるべきでしょう。また、小学校の現場では、現行制度でも可能な通級制の情緒学級を積極的に増やすことが必要だと考えます。
札幌では、こんな話も伺いました。あるとき娘さんが、「お母さん、なぜ義務教育ってあるの、義務教育なんてなければいいのに」とポツンともらしたそうです。そのときお子さんは、LDが原因でいじめにあっていました。
子どもに義務教育を恨むような言葉を吐かせてはなりません。
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LD児及びその周辺児に対する支援について/
桐川卓雄教育長
学校におけるLD児に対する指導体制につきましては、この3月末に、学習障害児等に関する研究をまとめた指導マニュアルを作成し、県内の小・中学校に配布したところでございます。
今後も、各学校においてこの指導マニュアルが有効に活用され、校長を中心とした指導体制が整うよう、小・中学校長会をはじめ、あらゆる機会をとらえまして、さらに指導を行ってまいりたいと存じます。
また、行政、学校現場、家庭並びに医療機関とのネットワークにつきましては、現在、南教育センターにおいて、LD児及びその周辺児について、学校や家庭に対し教育相談や指導を行っております。
今後、関係の医療機関との連携を図りながら相談や指導の充実に努めてまいります。
また、小学校の通級制の情緒学級につきましては、市町村教育委員会が新たに設置しようとする場合は、児童の障害の状況を勘案しながら認可してまいりたいと存じます。
今後とも、LD児に対する教育につきましては、教職員に対する理解、啓発及び研修も含め、その充実を図ってまいりたいと存じます。
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LD児及びその周辺児に対する支援について/
遠藤明健康福祉部長
LD児及びその周辺児の早期発見や療育につきましては、市町村での乳幼児健診や保健所の発育発達相談並びに児童相談所における相談など、児童の健全発達の視点から、保健・医療・福祉・教育の各分野と連携を密にいたしまして支援をしてきているところでございます。
また、LD児及びその周辺児で医療の必要なお子さんにつきまして、県立小児医療センターを中核として、地域における医療機関や関係機関と連絡をとりながら対応しております。
県といたしましては、今後、県立小児医療センターにおける地域医療機関や関係機関との連携をさらに強化して対応してまいりますとともに、LD児及びその周辺児に対応可能な医療機関の情報の集約と提供及び医師を含めた専門職員の研修などに努めてまいりたいと存じます。
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LD児及びその周辺児に対する支援策について/
畠山清彦県議会議員
平成10年12月定例会/一般質問より
教育局においては、全小学校を対象にLDに対するアンケート調査を行ったり、南教育センターで研修を実施したりと一定の評価をするものであります。しかし、具体的な支援策となると大きく踏み出せないでおります。
ある医療機関の追跡調査によると、1,500グラム未満で生まれた未熟児のうち、約29パーセントがLD群に入り、問題行動がやや多い中間群には29パーセントが入るそうです。要するに、極低出生体重児の半数以上がLD児及びその周辺児になる可能性を示唆しております。
医学の進歩により、未熟児の生存率は格段に高くなりました。このことはLD児の発生率も高くなっている可能性を示しております。しかしながら、そのフォロー体制は従前のままです。
また、さきに挙げた未熟児の中で、病院で受診していることを理由に、1歳6か月児健診及び3歳児健診を受診していない場合、父母の障害認知が遅れてしまうといった危ぐも考えられます。
私は、乳幼児健診でLD等の発達障害児が早期に発見されるように乳幼児全員が受診することと、発達スクリーニング検査の充実を提案いたします。
特に、多動傾向のLDサスペクト児等を早期に発見すれば、回復の可能性につながるからです。健康福祉部長に御所見をお伺いいたします。
また、私は、過日、埼玉LD研究会の有志が取り組んでおります土曜教室を見学させていただきました。教師等がスタッフとなり、ソーシャルスキルを中心に指導しておりました。お母さん方に聞くと、学校では授業についていけない子たちだそうですが、そこでは本当に楽しそうに授業を受けておりました。
私は、前回提案した通級やチームティーチングなどの教育現場の充実を一刻も早く望むものでありますが、南北教育センターでは、指導モデルとなるような実践的研究を行うべきではないでしょうか。
LD児及びその周辺児を対象にしたソーシャルスキルを学ぶ土曜教室のような指導の場と、学習障害巡回相談を提案するものであります。教育長の御所見をお伺いいたします。
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LD児及びその周辺児に対する支援について/桐川卓雄教育長
学習障害児、いわゆるLD児等の実践的研究につきましては、現在、県立南教育センターにおいて学習障害児等の指導に関する調査研究の中で、学習に困難を示す子供の実態の調査をはじめ、指導内容及び指導方法について研究を進めており、平成10年度末に指導事例を含めた報告書を出す予定でございます。
今後、各学校や学習障害児等指導者研修会などにおきまして、この報告書を積極的に活用し、学校現場を中心とした実践的研究をより一層充実してまいりたいと考えております。
また、学習障害児等に対し、状況に応じた行動がとれることをねらいとするソーシャルスキルなどの指導の場につきましては、御提案の趣旨を踏まえまして、現在、県立南教育センターが実施しております教育相談活動の一方法として検討してまいりたいと存じます。
また、学習障害巡回相談につきましては、御提案の趣旨を参考にさせていただき、国の協力者会議の動向や他県の取組状況を見極めながら、今後、検討を積み重ねてまいりたいと存じます。
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LD児及びその周辺児に対する支援について/
遠藤明健康福祉部長
極低出生体重児を含む乳幼児の疾病や障害の早期発見につきましては、市町村が実施している乳幼児健診が重要な役割を果しております。このため、市町村におきましては、乳幼児健診実施について、広報紙への掲載や個別通知などを行い、周知に努めているところであり、未受診児に対しても電話や文書などによる受診の促進を積極的に働きかけております。
県といたしましても、乳幼児健診未受診児の受診勧奨や健康状態の把握に更に努力するよう市町村を指導しているところでございます。
次に、発達スクリーニング検査につきましては、県が独自に作成した乳幼児発達検査表などを活用し、市町村で実施しているところでございます。
県といたしましては、この検査表が適切に用いられ、時代の要請に十分こたえられますよう、今後更に健診に従事する職員の質の向上を図るための研修の実施や専門職員の確保の促進などを通じ、その充実を図ってまいりたいと存じます。
今後とも市町村と十分連携し、医師をはじめとした専門職員による発育発達相談や療育指導などの実施によりまして、障害の早期発見、早期療育に努め、学習障害等の発達障害に関する施策の充実に努力してまいります。
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