LD(学習障害)支援
誰ひとりとして使命と可能性を持たない子はいません。あらゆる児童・生徒の個性を開花させる教育環境の整備に全力で取り組んでいます。

提案 経過 実績

Q LD児及びその周辺児に対する支援について
畠山清彦県議会議員

平成9年06月定例会/一般質問 より

LDとは、ラーニングディスアビリティーズ(Learning Disabirities)の略で、学習障害といい、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話すなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す、様々な障害を指します。エジソンもアインシュタインもLDだと言われております。
アメリカでは、1968年にLDが定義され、1075年から公的な特別な教育支援が開始されました。今では、就学児の1割を超える子供たちが支援を受けております。その約半数、200万人がLDと呼ばれる子供たちです。
それに対し、日本では、1995年に文部省がLDの定義を定めただけで、まだ公的教育支援が確立していません。本県でも、LD児及びその周辺児を持った担任の先生だけが問題意識を持ち取り組んでいるのが実態で、バックアップする体制ができていません。ですから、LD児及びその周辺児の保護者の方々は、親の会をつくり、情報交換しながら、悩みを共有し、励ましあっています。

私は、過日、先進的に取り組んでいる千葉市立検見川小学校、東村山市立久米川小学校、更に横浜市立綱島東小学校を視察してまいりました。検見川小学校では、自校内通 級による個別指導と通常学級に対するティーム・ティーチングを、久米川小学校では通級による個別指導とグループ指導の組合せを、綱島東小学校では通級による保護者同席の個別指導を実施しておりました。その綱島東小学校で、個別指導終了後、同席のお母さんに感想を聞いてみますと、どうすれば、いいところを引き出すことができるか、先生の指導を見ながら理解できるようになった、との声が返ってきました。お子さんも個別指導が楽しいと言っているそうです。
この3校とも、学習障害を子供たちの特性、個性として暖かく受け入れておりました。

1994年の国立特殊教育総合研究所の調査によると、算数と国語のいずれかが、当該学年より2学年以上遅れがある児童は、5年生で9.5パーセント、6年生で9.1パーセントおります。この中の何人かはLD児の可能性があります。私は、LD児及びその周辺児を包み育てる教育ができれば、あらゆる通 常学級の生徒の個性を開花させることが可能と考えます。
私がお会いした小川町のY君は、文字を書くのが苦手なLDの生徒さんですが、今年、中学を卒業し、見事就職を勝ち取りました。先々週、私に激励の手紙をくれました。そこには、「そろそろ6月議会ですね。頑張ってください。私も、テレビで、先日、議長、副議長さんの話を聞きました。畠山さんも明日の埼玉をつくってください」と記してありました。
私は、涙が出る思いでした。彼らこそ明日の埼玉の宝であります。君には君でなければできない使命がある、とは我が母校の創立者の言葉ですが、誰一人として使命と可能性を持たない子はいません。Y君のように、生きる力のある子が増えることこそ、教育立県としての面目躍如ではないでしょうか。それを支援するのが本県の役目です。
私は、本県が早急に取り組むべき課題として、1つ、LDに関する啓発、特に、保母、教員等の研修、2つ、相談・診断体制の充実、3つ、教育現場での通級個別指導、ティーム・ティーチング等の充実を訴えたい。東村山市では、就学児童は市の教育委員会で、就学前児童は社会福祉協議会で相談及び診断ができる体制になっております。本県は、せめて南・北教育センター並びに各児童相談所で、LD専門の職員による相談・診断体制を敷くべきです。




A LD児及びその周辺児に対する支援について/荒井桂教育長

生涯がある子供たちへの相談活動につきましては、南・北教育センターを中心に前から実施しておりまして、平成8年度における、学習障害児と思われる子供たち、及びその周辺と思われる子供たちの相談件数は7件でございました。

また障害に対する診断につきましては、教育、心理及び医学などの総合的な診断が必要となりますので、今後、南・北教育センターに配置しております嘱託医などと連携した専門的な体制づくりについて研究してまいりたいと存じます。

教育支援についてでございますが、県教育委員会といたしましては、国や県で開催しております学習障害児等指導講習会や発達診断検査研修会などへ教員を計画的に参加させて理解を深めさせるとともに、指導力の向上を図っているところでございます。

また、平成9年度、埼玉県特殊教育振興協議会に、障害の多様化について対応した学校教育の在り方について諮問し、学習障害児などの教育対応について協議をいただいているところでございます。これと平行いたしまして、南教育センターでは、学習障害(LD)児等の指導に関する調査研究のための研究協力委員会を設置し、実態把握や指導法の在り方などについて調査研究を始めたところでございます。

今後、教育支援などにつきましては、国の調査研究や本県の研究の成果などを踏まえ、御提言の、取り組むべき課題の趣旨をも含め、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。




A LD児及びその周辺児に対する支援について/野沢通 泰副支部長

LD児、又はLD児周辺児と思われる相談が、昨年度は43件ございまして、このうち、医療機関により6件がLD児と診断されております。LD、いわゆる学習障害に関しましては、まだ解明されていない部分もあり、診断や指導が難しいことから、相談におきましては、行動観察や心理テストを行い、LDと推定される児童については、LDの医学的検査が可能な小児医療センター等の医療機関を紹介しておるところでございます。

その結果に基づき、親に対しましては、LD児の原因と特性を理解していただき、その行動を受け入れるように助言するとともに、児童に対しましては遊戯療法等を行い、運動の協調性を向上させ、脳の統合化を高めるための訓練も行っております。

児童相談所におきましては、今後とも、LDに関する専門的医療的機関や教育機関と密接な連携、協力を深めるとともに、診断や指導の在り方を研究工夫しながら、より良い相談体制の充実に向けまして努力してまいりたいと存じます。


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