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◇提案 |
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開発途上国の教育支援について/畠山清彦県議会議員
初めに、全国の自治体の先頭に立って、草の根の国際交流・国際協力を進める知事に、改めて敬意を表します。また、知事の人脈は本県の財産であり、県民にとっては心強いところです。
私はこれまで、ネパール王国の識字率の向上に心を砕いてまいりました。同国を訪問する中で、物の豊かな時代に育った本県の子供たちにとって、物は豊かではないが、瞳輝く子供たちと交流することは実り多いことだと確信をいたしました。
以前、大宮市のある小学校の保護者から、子供たちが使い終えた算数セットを開発途上国に送れないかとの話がありました。例えば、こうした県や市町村等で不要となった物品を、県内のボランティアグループにも御協力いただいて、ネパールはじめ開発途上国に提供できれば、それらの国の子供たちの教育にも役立つのではないかと考えます。
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ネパール識字率向上のための支援/畠山清彦県議会議員
平成10年12月定例会/一般質問より
私は、平成7年12月定例会で、ネパールに対する識字率向上の支援策を提案いたしました。県はその後、早速調査団を送り、少年少女の絵画の交流や県立農業大学校への研修生の受入れなど、知事が先頭に立って支援をしていただいていることに敬意を表するものであります。
しかし、残念ながら、6年にわたって本県が人材を派遣しておりましたプライマリヘルスケア・プロジェクトは、JICAがプログラムを終了することとなりました。
私は、本年9月、ネパールを視察してまいりました。行って驚きました。カトマンズ空港に着いたのは夜7時。外に出ると子供たちが寄ってきて、「チップ、チップ」と言います。でもただでくれと言っているのではありません。バッグを持ってやるからくれというのです。昔の王宮に行けば民芸品の帽子を持ってきて「5つで700ルピーね」などと日本語を交えながら、10歳にも満たない子が必死に売って歩いております。彼らは生きるために必死でした。耕地面 積も少なく、大した産業もない標高差8,000メートルのネパールでは、子供も大きな労働力なのです。
また、都市を離れれば、ほとんど山、また山ですが、そこでは今でも畑仕事をするのは女性と子供、特に女の子の負担が大きくなっています。とても厳しい生活です。
本県支援のヘルスポストで会った子は、12歳なのに日本の7、8歳ぐらいの体格しかありません。さらに、貧しい集落では女の子を売り、エイズにかかって戻ってくるという悲劇も生まれていると聞きました。
一方、首都カトマンズで学校に通っている子供たちは、ネパール語と英語の2か国語を話せるのは常識のようです。
これらのことは、残念ながら、昔ながらの生活習慣が残っているというのと関係があるかもしれません。学校を建てても、先生を養成しても、それだけでは駄 目だと痛感いたしました。
このような状況下で、男性で50パーセント台、女性で20パーセント台の識字率をより高めるには、山間部の子供たちが学校に行けるシステム、いわゆる村おこしをセットにして支援していかなければならないと実感いたしました。
成功している例としては、財団法人日本農業研修場協力団、JAITIの例があります。そこは、学校をつくって6年目、本年から中学1年生が入学しましたが、給食制度を取り入れておりました。JAITIの事務局長さんに伺いますと、母親はもともと子供を学校に行かせたいので、働かせるより昼食代が浮くとわかると学校へ行かせるそうです。それが今のところ成功している要因だそうです。
このように、生活環境が厳しいネパールの地で、地方からの外交の重要性を常々説いていらっしゃる知事の意を体し、本県のスタッフは懸命に仕事をされておりました。
村人をはじめ郡の関係者、並びにネパール政府にも、その仕事ぶりは大変感謝されておりました。特に、ドラッグスキームというヘルスポストを中心とした薬の管理システムは大変成功し、ある村では3年間で15,000ルピー、日本円で3万円、貨幣価値としてはその100倍とも、1,000倍とも言われるお金を村の財産として蓄えることができたそうです。このお金は、これから村おこしに使うそうです。
ドラッグスキームの基礎をつくった本県のY専門家は、「戦後荒廃した日本に保健所をつくってくれたのはロックフェラー財団だ、それがあって日本人の健康が守られた。豊かになった日本は、今度は、その恩返しをアジアの人たちにしてもいいのではないか」とおっしゃいました。慈悲を説く釈尊生誕の地ネパールで伺い、私は特に感動をいたしました。
JICA主体の支援は本年で終わるわけですが、ドラッグスキームの他郡への普及、農業、林業、土木等の技術支援や教育交流など、幾つも支援できる財産が本県にはあります。そして、それらの支援や村おこしを通 し、識字率の向上も併せて支援していただきたいと存じます。
世界に開かれた心を持って国際交流に腐心されている土屋知事に、ネパールに対する新しい支援策について御所見をお伺いいたします。
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ネパール識字率向上のための支援/土屋義彦知事
まずもって、畠山議員のネパール王国の人々との生活向上に対する情熱と行動力、そしてまた、知識を求める旺盛な意欲に深く敬意を表します。
ネパールのプライマリヘルスケアにつきましては、去る11月の30日、天皇陛下にも御進講申し上げたところでございますが、平成5年度から国際協力事業団と共同で、お話にもございました住民の方々に薬を供給するヘルスポストの整備をはじめといたしまして、公衆衛生水準の向上にも貢献する諸活動を一体的に行うことによりまして、大きな成果を収めることができ得ました。
延べ51名の医師、保健婦、薬剤師等の専門職員を現地に派遣するとともに、23名の研修生を受け入れてまいったところでもございます。
こうしたこともあって、私はネパール政府からの招待を受けまして、平成7年の10月に同国を訪問いたしまして、当時の秋山県議会議長とともに、ビレンドラ国王にも拝謁するとともに、首相や保健大臣とも意見の交換を行いまして、本県の活動に対するお礼の言葉をちょうだいをいたしたところでございます。
この訪問で、私も識字率の向上が重要であり、社会経済基盤の整備はもとより、医療や農業、土木等、総合的な協力の必要性を深く認識をしたところでもありまして、平成8年度から農業研修生の受入れを開始し、また、教育の分野では、女子教育向上のための援助や学校の施設整備に取り組んでおります民間の団体に対しまして、財団法人埼玉県国際交流協会を通じまして助成を行い、識字教育の向上にも努めてまいったところでもございます。
プライマリヘルスケア・プロジェクトにつきましては、埼玉県職員によるきめの細かく積極的な取組によりまして、実施対象地域ではかなりの成果を上げることができ、この結果、ネパール政府と国際協力事業団との間で、本年度に終了することで合意をみたところでございますが、実施対象地域以外の地域における協力について、ネパール政府からの要望も強いことから、引き続き職員を派遣してまいりたいと私は考えております。
私は、我が国が平和国家として生き続けていくためには、政府対政府のオフィシャルな外交もさることながら、地方自治体自らが先頭に立って、心のこもった、また、きめの細かい交流や協力を進めていくことが将来ともに、私は、平和国家として生き伸びる道であるとかように考えまして、今後も引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。
ネパール王国に対しましても、国際協力事業団とも相談しながら、新たな分野での研修生の積極的な受け入れなど、更なる支援策について検討を進めてまいりたいと存じます。
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